オステオパシー。
不思議な治療だ。
受ける前までは、おそらく疑いが頭に浮かび、本当に効く治療なのか、プラシーボ効果じゃないのか、そもそも聞いたことがない、など、
偏見のまなざしで見られることがほとんどな気がする。(今でもそうだ。)
だが受けてみた後はどうだろう。
好転反応(副作用とは違い、身体が治る過程で出る発熱や倦怠感、下痢などの症状)は必ずあるものの、
次の日にはあなたはその効力を確かに実感しているはずだ。
実際の体験談などについて知りたい方はこちらからも。
詳しいオステオパシーについては上からぜひジャンプして読んでみてほしい。
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ここではその中でも、
オステオパシーを生み出したA.T.ステイル医師の直弟子であるサザーランド医師により、彼が亡くなった後に意志を引き継ぎ、20年以上も研究に費やし、
初代のオステオパスを改良し進化させ、いまの主流ともなっている【頭蓋仙骨オステオパシー/クラニオセイクラル・オステオパシー】についてもう少し掘り下げて説明をしていこうと思う。
※なおわたしはオステオパシーを習ったわけではないので、もしかしたら本質がずれてしまう場合もあるが、
参考書やオステオパシーの先生に聞きながら素人ながらのまとめであるので、ぜひ暖かい目で見てもらえれば。
頭蓋仙骨オステオパシーの歴史
オステオパシー。
今から約150年以上も前に、アンドリュー・テイラー・スティル医師により考案・開発された、
当時の医学から見れば真反対の治療行為である。
それは、薬などを極力使用せずに、手技による治療により、
患者本来の【治す力】、自己回復力を促進させることで、薬に頼らず、患者自らの力で治療を行うというもの。
それは決して痛みの伴うような、強い刺激を用いるような徒手治療ではなく、
患部などに軽く触れることで、血液の循環や自律神経の不調、体液の循環や神経の興奮などを整えていく。
それは、確かな効果を発揮していたが、いつの時代も異端児は必ず反対されるものだ。
それでも、実際に見て感じた医師たちにより、世界中に海を超えて、少しずつ広まっていき、150年経った現在では日本でも本格的に学べるようにまでなっている。
フランスでは国家資格となり、WHO(世界保健機関)でも認められている、今では確率した治療となっている。
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A.T.ステイル医師から始まったオステオパシー。
その後、オステオパシーの原理である4つの法則を、頭部へと適用させることを目的に、
様々な医師と共に試みが始まっていた。
そしてその後、現在の主流となっている【頭蓋仙骨オステオパシー/クラニオセイクラル・オステオパシー】を、ウィリアム・ガーナー・サザーランド医師により開発されていった。
頭蓋骨が動く??
サザーランド医師、は米カークスビルのオステオパシー学校に在学中に、分離されている頭蓋を観察していくと、
蝶形骨大翼(ちょうど耳の奥の方)と頭頂骨、そして側頭骨鱗部(頭の横)の接合面に関心を持つ。
それは、解剖学で習ったのとは違い、呼吸するように動くことが出来る関節運動としての役割があるのではと。
そしてその頭蓋骨の運動を促しているのは、
- 頭蓋硬膜
- 大脳鎌
- 小脳天幕
- 小脳鎌
- 脊髄硬膜
であると発見し、これら【相互張力膜】により、頭蓋骨は運動が可能な関節となっていると気が付いたのだ。
そしてそれを確かめるために、患者や自分の脳の自動運動、脳脊髄液の波動、脳脊髄硬膜や頭蓋~仙骨の可動性が、頭蓋骨の運動に深く関わると分かったのだ。
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オステオパシーには、全体性の法則があり、
身体に異常が出る⇔頭蓋骨内部のなんらかの異常⇔頭蓋~仙骨に繋がる神経などの異常というのを、
包括的に関連があり、どこかの異常はすべてが繋がっていて、その治療の根本には頭蓋骨へのアプローチが大事なのではないか。
という結論を見出していた。
頭蓋仙骨オステオパシーの治療
この頭蓋仙骨オステオパシーの確立により、今まで対応が難しかった症状(水頭症、協調運動障害、多動性、その他の発達障害)にかかっている幼児への治療、頭痛や耳鼻咽喉科の障害(副鼻腔炎、耳の感染症など)、集中力の問題、ストレスへの対応も可能になった。
これは大きな進歩だと思う。
基本は、整骨領域や、整形外科などの領域などの、いわゆる外傷などに対する治療として一般的なイメージだったが、
この頭蓋仙骨オステオパシーの取得により、その治療の幅大きく改善され、内科、耳鼻科、精神科などの疾患の対応も可能になったということだ。
これがなぜ良いのかというと、
このオステオパシーが対応できる領域が増えるということは、自分で治せる=自己回復出来る範囲が広がる=色んな症例に対して処方されている薬が減るor無くなる、ということに繋がっていく。
これはとても大きな意味を持つ。
もちろん医薬品業界からしたらたまったもんじゃないのだが笑
オステオパシーの治療の及ぶ範囲が広がるということは、
くすりの副作用で悩んでいる人、効いているのか分からない薬を処方され続けている人、
そして薬やその他の治療で治っていない人に対して、希望の光が射しているはずだ。
わたしがなっている坐骨神経痛、
この坐骨神経痛についてわたしなりにかなり調べたのだが、坐骨神経痛の治療はどれもお金も時間も、そして痛みも伴うものばかりだ。(世間ではそれが一般的だ)
オステオパシーで坐骨神経痛を完治させた話を見たい人はこちら。
痛みの強い神経痛は治りにくく、また治療が困難になりやすいのだが、
それをオステオパシーで治療してもらい、そして現在ではほぼ完治したのは、現実であり、夢ではない。
頭蓋仙骨オステオパシーのさらなる進化
サザーランド医師により考案・開発された頭蓋仙骨オステオパシー。
元々スティル医師も頭蓋オステオパシーと似たようなことをしていたのだが、
人が出生時、産道を通って出てくるときに、なんらかの圧力により蝶形後頭底結合(SBS)に機能障害が出るということに言及し、
他の医師もこの蝶形後頭底結合(SBS)への圧力による変形により、脳の機能への障害を認めている。
胎児は確かに、生まれる時は頭蓋骨がまだ組み合わさっていなく、頭蓋骨が動くことで産道を通れるようになっているのだが、
その時の外側からの圧力により、この蝶形後頭底結合(SBS)が圧迫を受け、ズレたままその後形成されることで、血管運動や神経などの障害が生まれてしまうことがある。
そしてそれに対処するために、圧迫マニュピュレーションというものも開発されている。
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頭蓋仙骨オステオパシーは、適切な圧力を頭部へと掛けていき、頭蓋骨を形成している多くの骨の縫合部分の整復をしてことで、
脳脊髄液の循環を整え、神経の興奮や体液の循環を改善し、それにより先に述べた様々な症例に対しても治療が可能になった。
少し難しくなってきたかな?笑
オステオパシーの基礎の部分
なにごとも基礎が大事
人の身体は、
- 骨
- 関節
- 筋肉
- 靱帯
- 膜
- 内臓
- 神経
- 血管や体液などの組織
などで作られており、その一つ一つの箇所ではなく、全体性の法則から見て、これらが密接に繋がっているというのを把握しながら観察し、それらを活性化させ、身体の循環を整えることで、患者本人の回復力を促進させることで、治療に当たっている。
大事なのは、動脈の循環である。
この動脈の中には、血液によって、栄養成分・酸素・免疫成分・水分などが全身へ運ばれることで、身体は生命を維持できている。
この動脈の循環を滞らせないことが大事であり、オステオパシーの法則にも入っている。
そのため、内外からの圧力や、ストレス、自律神経などの不調や傷害などで、血液を含む体液(リンパ液など)の循環が滞ることで、身体中にうっ血が生まれる。
それにより、神経系の障害や治癒の遅延、酸素や栄養の不届が発生し、細胞組織の壊死や代謝物の排出の能力低下などに繋がっていく。
そしてこの【循環】を整えるために、
脳液、頭蓋内の脳脊髄液や血液などの循環を改善することで、
身体全身へと影響する頭の治療により、運動性の疾病(捻挫や神経痛、外傷や癒着、炎症、皮膚疾患や精神疾患)などへの治療を可能にしている。
ここで大事になるのは、直接医師がオステオパスを使用し、治療に当たる、というのではなく、
治すのはあくまで患者本人の自己回復力次第であり、その回復力を改善させるのがオステオパシーであるということだ。
たしかに、オステオパシーを受ければ良くなるのだが、
それはあなた自身の自己回復力が整われたからであって、対症療法のような治療ではないということ。
痛みがあるから、痛み止めを処方する。のではなく、
痛みの原因を調べ、それに対して患者自身の低下している回復力を整え、改善させることで、
その人自身が、自身の痛みや炎症、障害に打ち克てるようになる、ということだ。
そのためには、解剖学を深く理解し、千差万別である人の身体を深く診断しなければならない。
身体の治癒と他器官との相互影響
自己回復力というのは、
- 生命機構全体の調整
- 病原菌などに対する免疫
- 損傷個所の修復
- 体内の毒素や有害な成分の排出及び解毒
などの時に出現し、行使する。
そして、損傷した細胞の代わりに新しい細胞へと代謝し、身体の新陳代謝を常にはかっている。
これはすべての生き物に共通され、【ホメオスタシス(恒常性)】として存在している。
転んでケガをしても、何日か経てば治るのは、誰にでも経験があるはずだ。
それは、その【傷】に対して、自己回復力が勝っているから、自然と完治までもっていけるのだが、
”今の自分の免疫力や回復力”だけでは、治癒が難しいケガや炎症などもある。
それは持病であったり、環境要因であったり、栄養摂取の不足であったり、精神状態の悪化であったり、様々な要因も絡んでくる。
急性であれば、薬の投与の方が対応としては早く、良い場合もあるが、慢性的になっているものだとそうはいかない。
なぜなら、身体がすでにその慢性疾患に対して、膠着状態又は負けている状態が、その人の【ホメオスタシス/恒常性】を保っている状態になってしまっているからだ。
オステオパシーの構造と機能の関係性
機能と構造はとても密接に関わっている。
それは、機能(生理学)/構造(解剖学)を深く洞察し理解することが大事であり。
ヒトの身体は、機能と構造により生命活動を維持しているからだ。
そのため、筋肉や骨に痛みが出た場合、痛みを取り除くだけの治療ではなく、
その骨や筋肉に関連する神経や大きな血管やリンパ節、体液の循環、筋膜、隣接する内臓や関節など、
解剖学と生理学の両方へのアプローチが必要であり、その二つという全体的な視点から診断し治療に当たる必要が不可欠となる。
その相互関係には、
- 関節✖筋肉✖骨の構造的関係性
- 器官と組織の間にある、筋膜や靱帯などの関係性
- 血液・リンパ液・脳脊髄液などの体液の循環具合
- 末梢神経や中枢神経など、情報伝達系器官
- 組織の生化学、ホルモンなどの物質や代謝物質
- そして自律神経系や精神の状態
などが、それぞれに深く、密接に関わっていて、構造が悪くなれば生理学的な方も悪くなり、機能が悪くなれば、構造も悪くなっている。
頭痛の時に、痛み止めを飲むことで痛みは収まるが、痛みの原因は取り除けているわけではない。
その痛みの神経を遮断しているだけであって、痛みの原因がいまだ残っていて、それがいったいなんなのかを探るためには、
頭の中だけでなく、そこから繋がる脊柱、仙骨、アライメント、疾患、内臓の不調など、様々な面から考察する必要があるということだ。
総合的に把握するオステオパシーの治療
オステオパシーの治療に際して
オステオパシーでは、構造から入り、その構造への徒手による手技治療により、患者の体内での生理的な反応を促していく。
それは薬ではなく、熟練の手技による技術のみで行われている。
この構造✖機能の関係性を把握し、正常な機能へと回復させていくのだが、
オステオパスが治癒するのではなく、患者がオステオパスを受けることで自己矯正が促され、炎症などの箇所を、自分で治せるようになる。
それは、オステオパスが、
いま、患者の中で足りていない部分、例えば血液循環や体液の滞り、内分泌系や代謝物の排出や解毒などの補助的な役割を果たし、
その穴埋めをすることで、正常な状態まで身体を持ち上げ(整え)、その正常な状態で患者本来の自己治癒力で”治させる”イメージに近いかもしれない。
まさに頼れるサポート役として申し分ない。
治癒することで、正常に戻るのではなく、
先に身体の不足している個所(循環や内臓の位置の調整)を補い、正常な状態に戻すことで、回復力が上がり、そして治癒していく。
あくまでもオステオパスというのは主役ではないということであり、患者の潜在的な回復能力を戻してくれることに真髄がある。
それが、A.T.ステイル医師が作り上げたオステオパシーを、サザーランド医師により頭蓋仙骨オステオパシーとして改良され、
世界中で多くの人の不調を取り除く手助けをしている。
この続きは次回書きます。
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