人の身体は、主要な11の器官によって分けられ、骨や神経、筋肉や皮膚、内臓、そして血管やリンパ管など複雑な構造をしている。
その中でも骨や筋肉は、
- 骨/赤ちゃんで約305個、大人で約206個
- 筋肉/約640個
あり、
この640個の筋肉が、206個の骨にくっつくことで、ヒトに動作というものを与えている。(ここでは神経は無視。)
そのため、ヒトの身体は非常に複雑かつ緻密に出来ており、
大きさも、長さも、重さも、形も、まるで見たことがないほどの見た目で、構成されている。
そんな複雑な構造の骨と筋肉だからこそ、
少しの歪みが、大きな【ズレ】となってしまうのが容易に想像がつくはずだ。
今回は、そんな骨と筋肉の相関関係によって生み出している【姿勢】、
その姿勢の歪み(ズレ)が起こるとどうなるのかを記述していこう。
人体の構造を簡単に説明しよう
人体の構造とはどのようなものなのか
人体の構造は主に、
- 頭部/頭部・顔部
- 頚部
- 体幹/胸部・背部・腹部・臀部・会陰部
- 体肢/上肢(上腕・前腕・手)と下肢(大腿・下腿・足部)
に分けられている。
頭部には【脳】が、体幹部には【脊柱と内臓関係】がそれぞれ”腔(くう)”と呼ばれる箇所にしまわれている。
体幹部の中でも背中側では、脳から繋がっている【脊柱】が伸びており、それを【脊椎骨】で囲み、その中を【脊髄】が通っている。
その脊髄から神経が何千と臓器や筋肉などに伸び、”動き”や”感覚”を与えている。
体肢とは手足、腕と脚のことであり、ヒトの生きていく上で、動作を与えてくれるとても重要な器官だ。
身体を支える骨格系~骨~
子供の頃、ガンプラやゾイド、戦隊ヒーローシリーズのロボットなどで遊んだことがある人にとって、
この土台となる骨組みというのは、意外と身近なものかもしれない。笑
ヒトの骨は赤ちゃんの頃に約305個、そして大人になるにつれて骨が合体していき、約206個にまで減る。
骨をそれぞれ大まかに話すと、
- 頭蓋骨/29個
- 脊柱/26個
- 胸肋骨/25個
- 上肢(肩から上腕~前腕~指先まで)/両手で64個
- 骨盤、下肢(大腿骨~膝下部~足先まで)/両脚で62個
となっている。
骨格は骨・関節・軟骨から出来ていて、主な役割は臓器の保護、血球をつくる、ミネラルを蓄える、身体を支えるといった重要な機能を持っている。
身体に動きを加える、筋肉について
筋肉には、横紋筋(骨格筋)、平滑筋、そして心筋の3つがある。
さらにこれら筋肉の中でも、意識的に動かすことが可能な随意筋に対し、意識しなくても勝手に動く内臓のような不随意筋の2種類があり、
- 横紋筋(骨格筋)/動作に使うような一般的な筋肉は随意筋
- 消化器官や血管、心筋や気管支などは不随意筋
となっており、不随意筋に関しては、自分で力を込めて動かすのではなく、ホルモンや自律神経などにより動きをコントロールされている。
そのため、この内臓に関係する不随意筋のコントロールを担っている自律神経系になにか不調が出てしまうと、
内臓や気管支、心臓の動きや消化器官の働きが鈍り、内臓の機能障害を引き起こす。
その大まかな原因は、主に”心的ストレス”によるものが多いとされている。
また随意筋に関して言えば、その筋肉たちの収縮をすることで、骨を動かし、ヒトに対して【動作】というものを与えている。
トレーニング別の筋肉の説明はこちらを参考に。
身体のバランスの歪みを見ていこう!
身体にはどんな歪みがでるのか
上で説明した、【骨と筋肉】。
それぞれが相互に深く関係していて、その連携によりヒトに対して”動作”というものを与えている。
だが、その筋肉や骨のどちらかになにか不調が出た場合はどうなるのだろう。
ヒトの身体は何百という筋肉や骨により、重力と体重を支えている。
そのうえ計算された動きや、計算されたバランスではなく、身体が自然とバランスを取れるようになっている。
だがその身体のどこかに、なにか歪みが一つ生まれたとしよう。
するとどうなるのか。
ヒトはその歪みに対して、無意識に”代償動作”を取ろうとする。
その代償動作こそが、歪みの結果であり、目に見えてわかりやすいというのも特徴的だ。
身体をまっすぐに保とうとするなら、身体の中心線を軸に、右と左の両側を同じ重さにしなければならない。
その時に出る代償動作により、からだは歪んだ姿勢になり、そしてそれを直さない限り、さらに歪みが助長されていてしまう。
ここからは代表的な身体の歪みが出やすい状態を見ていこう。
それにより、今の自分が当てはまるものがあれば、改善するきっかけになるはずだ。
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まず、身体の歪みを引き起こすものには、
- 筋肉の拮抗筋とのバランス
が基本的な原因となるのだが、
姿勢の歪み→→→骨格の歪み→→→靱帯や結合組織(筋や筋膜)の短縮・硬化や伸張・弱化という風に、大きく影響される。
からだの歪み~上半身編~
身体の歪みというのは、急になるものではない。
歪んだ状態が何日、何週間、何ヶ月も無意識になっていることで、今度はその”歪んでいる状態”が、その人にとっての”普段の状態”になってしまう。
そう、無意識に歪んでいることに気が付いていない人が多く、そのまま放置してしまった結果、歪んだ姿勢が誕生してしまうのだ。
ここでいう歪みとは【筋肉(表裏の相反する筋肉)のバランス】のことを指している。
筋肉は短縮することで、硬くなり、伸張すると柔らかくなる。そのため、一方の筋肉が短縮することで反対の筋肉が伸張してしまう。
ここで紹介する上半身の代表的な姿勢の歪みの中に、もしあなたに当てはまるものがあれば、ぜひ見直すきっかけにしてもらえたらと思う。
左右の肩の傾斜に関わる歪みと筋肉
肩の傾斜がでるということは、、、
肩の左右のズレを誘発させる原因は、主に6種類ほどあり、
肩自体が上下にずれていたり、片方だけ丸まっていたり、色んな歪みが生じることが分かっている。
早速見ていこう。
頭部は水平なのに、肩だけどちらか上がっている。
この姿勢から分かるのは、
- 頭は水平であり、
- 肩の高さは左右で違う
この場合、下がってる側の肩の方の【広背筋】が短縮している可能性がある。
肩が上がり、上がっている肩の方に顔が傾いている
この姿勢から分かることは、
- 肩が左右どちらかが上がっていて、
- その上がっている肩側の頭部が横に傾いている(肩の方へ)
この場合、下がってる側の肩へ頭が傾いているのは、【僧帽筋の上部】が短縮している可能性がある。
肩が上がり、上がっている肩が前に丸まる。
この姿勢から分かることは、
- 肩の位置が左右で違い、
- さらに上がっている肩が前に巻いている
この場合、下がっている側の【僧帽筋の下部】が短縮/上がっている側の肩が弱化し、弱い方の肩甲骨が上がり、前に肩が巻いてしまう。
肩が上がり、下がっている方に顔が傾く。
この姿勢から分かることは、
- 肩(肩甲骨)が上がり、
- 下がってる側の頭部が後ろへ回りやすい。
この場合、下がっている肩(肩甲骨)側の【菱形筋群】が弱くなり、その方の頭部が後ろへ回りやすくなっている。
肩が上がり、さらに体幹~骨盤も曲がっている。
この姿勢から分かることは、
- 脊柱起立筋(仙棘筋)が弱化し、
- 肩と骨盤が弓のように傾く
この場合、脊柱起立筋(仙棘筋)が左右どちらかが弱化すると、反対側へ身体が横に弓のように傾く。
地面に対して、頭部~肩~骨盤が同じ方に傾く。
この姿勢から分かることは、
- 中殿筋の弱化により
- 身体が大きく傾く
この場合、頭部~肩~骨盤までは垂直だが、その骨盤の下の下肢の部分から横に傾いているような場合、間にある【中殿筋】の左右どちらかの弱化が原因となる。
上半身の歪みをコントロールしよう!
コントロールといっても、すぐに直せるわけではない。
なぜならそれは、長年の歪みによって形成された姿勢かもしれないし、もしかしたらなにか身体の傷害が原因なのかもしれない。
そのため、まずは、その姿勢の歪みが”いったい何の原因から来ているのか”を見極める必要がある。
例えば、
- デスクワークによる腰椎の湾曲なのか
- 逆に腰痛(ヘルニアや坐骨神経痛、分離症や狭窄症など)によって、痛む箇所をかばう代償動作により形成されたのか
- カバンなどをいつも同じ側の肩に掛けていることによる、左右の不均等な傾き
などなど、
自分はいったい、いつから、なにがあって、こうなってしまったのか。
それが分かれば、まずは第一関門は突破だ。
外傷系や病気などは、まずはそれを直すことが先決になるのだが、デスクワークやバッグの片側のみの使用による傾きならば、
今からすぐにでも意識して改善することは十分に可能なはずだ。
まずは、デスクワークの姿勢を正すことから始めよう。
背筋を伸ばし、腰、膝を直角になるように座ろう。
デスクワークの人は基本的に腰椎が後傾しすぎているため(背中から腰が丸まっている)、前傾姿勢に戻すことすら辛いはずのため、
背筋を伸ばして座れるように、少し前のめり気味にしてもかまわない。これだでけでもまずは、座位姿勢時の腰の丸まりは良くなるはずだ。
実際、人間は長時間何かに腰を掛けている状態自体が良くない。というか、身体の構造からして少しおかしい姿勢だ。
→臀部が常に圧迫され、股関節周りの血流やリンパなどの循環の阻害、また股関節への長時間の負担により周りの神経の圧迫など
そのため、本来は座っている状態の中での良い姿勢というもの自体があるのかどうか・・・
-
※知り合いの整形外科の先生と以前話した内容。
バッグは毎日の中で、こまめに担ぐ側を変えよう。なるべく均等になるように、乗り換えの旅に変えたりなど。
そういう小さな積み重ねが、あなたの姿勢を作り出し、そして周りの人から見られる【外見】に直結していることを、忘れないでいただきたい。